平成30年4月版|生涯現役起業支援助成金

今回ご紹介する助成金は、40歳以上の方が起業する場合で、積極的な雇用を考えている場合には、必ず申請したほうがいいといえるものです。その名は、『生涯現役起業支援助成金』です。

40~60歳の方:150万円(2分の1)
60歳以上の方:200万円(3分の2)

上記の金額を上限として、求人サイトへの登録や、募集・採用パンフレット等の作成費用、就職説明会の実施、インターン・面接等のための宿泊費など、募集に関わる費用を補助してもらえる制度です。

なお、『生産性向上』という加算があります。これは、支給額のうち4分の1分が、4年後に追加で支給されるものとなります。非常に先の長い話なので、説明は割愛致します。

1.『生涯現役起業支援助成金』の条件

  • 雇用保険に加入していること
  • 法人の設立日に経営者が40歳以上であること
  • 『雇用創出措置に係る計画書』を提出していること
  • 計画期間内の対象労働者の過半数が離職していないこと
  • 営業譲渡等による起業でないこと 他

上記を満たす起業者は、支給の対象となることができます。その上で、以下の2つの条件を満たすように取り組まなければなりません。

事業継続性の確認
  • 公的な『創業支援』を受ける
  • 起業者の起業分野の経験が10年以上ある
  • 金融機関の融資を受ける
  • 総資産額が1500万円以上あり、負債を引いた残高が40%以上ある

上記のうちの2つに該当しなければなりません。

雇用の実施
  • 60歳以上を1人以上雇用する
  • 40~60歳を2人以上雇用する
  • 40歳未満を3人以上雇用する(40歳以上がいてもOK)

上記のどれかに該当しなければなりません。

2.助成金の対象となる経費

■民間有料職業紹介事業者の利用料 95万円 ■求人情報誌、求人情報サイトへの掲載費用/募集・採用パンフレット等の作成費用の合計額 75万円 ■就職説明会の実施に係る費用/採用担当者が募集・採用のために要した宿泊費及び交通費/事業主が実施したインターンシップに要した費用の合計額 35万円 ■対象労働者に適用される就業規則の策定/対象労働者に実施する職業適正検査の実施および雇用管理の改善の取り組みに要した費用の合計額 40万円 ■対象労働者に対し、その者が従事する職務に必要な知識または技能を習得させるための研修および講習等に要した費用 10万円 ■対象労働者において就職するための移転費が生じた場合、事業主がそれを負担した場合の費用 30万円 ■対象労働者が就職に至るまでに要した求職活動経費(交通費、宿泊費)について、事業主がそれを負担した場合の費用 15万円※公式『ガイドブック』厚生労働省より

なお、上記については、計画期間内に書面で契約を締結し、さらに、支給申請日までに支払いが完了していることが必要です。

また、雇用に関わる経費でも、本来必要のない経費については、対象外となります。

例えば、『社内レクリエーション等』に関する費用や、『経営者の私的目的』で使ったと判断される費用、その他、助成対象費用であることが明確ではないものについては、対象外となる可能性があります。気を付けなければなりません。

3.申請の流れ

  1. 起業(法人でも個人でもOK)
  2. 起業から11か月以内に『雇用創出措置に係る計画書』を提出
    (計画期間12か月まで)
  3. 『計画認定通知書』
  4. 雇用の実施
  5. 『生涯現役企業支援助成金(雇用創出分)支給申請書』提出
    (計画終了日から2か月以内)
  6. 『生涯現役企業支援助成金(雇用創出分)支給申請書』提出
    (3年目の会計年度終了日から5か月以内)

基本的に、起業から2年以内に雇用を終えていなければなりません。その間に、新規起業者が、要件を満たす雇用を実現するのは、簡単ではありません。ハローワークなどを上手に活用して、上手に実施しなければなりません。

4.お勧めの活用方法

上記『2.助成金の対象となる経費』『3.申請の流れ』で見てきましたように、対象経費はその他の補助金と異なり、かなり明確に絞られています。しかも、雇用に取り組むべき時期は、起業して即というようなものになっています。

この助成金は、あてはまる起業であればありがたいものの、現実には雇用がスムーズに確保できるとは限らず、簡単ではないというのが現実です。

そこで、この助成金の特性を活かして、以下のようなプランで利用することをお勧めします。この利用方法は、あくまで私たちのお勧めであって、公式見解ではないことは、ご了承ください。

①募集・採用パンフレットを作成する

この助成金では、『求人情報誌、求人情報サイトへの掲載費用』と『募集・採用パンフレット等の作成費用』に、合計75万円の上限額が設定されています。

この上限額について、求人情報の掲載にしっかり活用するのは当然ですが、さらに、パンフレット作成についても、しっかり活用しておきましょう。

一般的な補助金では、会社案内的なもの・募集パンフレットのようなものは、通常補助対象になりません。ですから、本助成金は、上手に活用しておきたいところです。

例えば、表紙の『採用案内』のような文字と、採用情報のページを削除すれば、会社案内として使えるようなパンフレットがあれば、便利ですね。そういうパンフレットでも、上手に作れば、十分補助対象になると考えられます。

②民間有料職業紹介事業者を利用する

パンフレットを作ったら、求人にどんどん利用しましょう。

応募した人にとって、会社案内がしっかりしているかどうかは、かなり大事なポイントとなってきます。

会社案内がパワーポイントの印刷で配られる場合と、きちんと製本されたものを配られる場合とだったら、当然、製本されたものが配られた方が、「いい会社」と思えるはずです。

民間有料職業紹介事業者の利用料に至っては、最大95万円までの補助となっています。早期に人数要件を満たせるよう、早めに取り組んでおきたいところです。

③【重要】インターンを実施する

一番大切なのが、インターンを実施することです。

人を雇用したら、簡単には解雇できません。気を付けなければならないのが、労働契約法です。

正社員にしたら、簡単に解雇できないのは皆さんご存知です。そこで、「契約社員として雇用しよう」という考えになります。

ただ、この考えにも、2点の難点があります。

  • 契約期間内にやめてもらうことは、解雇ではなく契約違反となる
    (場合によっては、契約期間の報酬分を全額支払うことにも…)
  • 契約期間を短期に設定してしまうと、更新回数による規定で、短期に無期転換権が発生する

優秀な人、会社に利益をもたらせる人は、正社員として雇用しても問題ないでしょう。しかし、そもそも能力があるのか、1回や2回面接しただけでは分かりません。

起業したて、数人で頑張って経営している時に、明らかに能力不足の人が入ってくれば、組織は腐りかねません。それを防ぐために、雇用の前にインターンを実施して、しっかり見極めておきたいところです。

5.申請に必要な書類

『雇用創出措置に係る計画書』の添付書類

  • 登記事項証明書又は開業届の写し
  • 事業内容を確認できる書類(事業計画書等)
    ※ホームページの印刷等でもOKだと思います
  • 起業者名等を確認できる書類(免許証の写し等)
  • 事業継続性を確認できる書類
    ※『1.支給の対象となる企業』を確認

上記のように、『雇用創出措置に係る計画書』さえきちんと作ってしまえば、この申請は大変ではありません。

『(雇用創出措置分)支給申請書』の添付書類

  • 支給要件確認申立書
  • 『雇用創出措置に係る計画書』の写し(届出済み分)
  • 助成額算定書
  • 生涯現役企業支援助成金(雇用創出措置分)に関する申出書
  • 雇い入れた労働者の年齢・氏名が確認できる書類(運転免許証等の写し)
  • 雇用継続に関する情報(雇用契約書/賃金台帳/出勤簿/労働者名簿 など)
  • 決算関係書類(伝票/BS・PL/現金出納帳等/源泉所得税の領収証書 などの写し)

この中では、『支給申請書』と『助成額算定書』に関しては、丁寧に作る必要があります。

また、決算関係書類は、準備するなら楽な方がいいですよね。計画段階で、1期分で済むように、上手に提出しておきたいものです。


執筆者紹介

私立開成中学・高校卒
私立上智大学法学部・法学研究科卒

広告代理店・経営コンサルティング会社を経て独立。法律系・広告系・教育系など、幅広い分野で大手企業の事業を指導。

主な実績として、官公庁の広告類や就業ルール改定、大手製造業の見える化など。大手学習塾や社会保険労務士法人における役員・業務改善責任者・現場責任者などの経験もある。

プライベートでは、ポーカーにおいて、国内の大きい大会で準優勝、国際大会にも複数出場、オンラインで65段階中最高のレイティングを獲得などの実績がある。

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